新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

寄せ集め航空団の闘い

 1991年発表の本書は、CNN記者から軍事ジャーナリスト、作家に転じたマイケル・スキナーのフィクションデビュー作。軍用機がいっぱい(さすがに戦闘はしなかったが、日本のF1支援戦闘機まで!トルネードやミラージュも)出てくる。作者はパイロットではないが、取材で幾多の機体に搭乗した経験があり、各機種の設備やクセについて詳しい記述がある。

 

 冷戦末期、ソ連コーカサス地方で輸送中の核爆弾を2つ、何者かに奪われた。それが10年後、イランのバクダッド核攻撃で使用される。中東の緊張は一気に高まり、ペルシア湾を扼する位置にあるイラン領バッダルアッバースの価値は最高になった。米軍第82空挺部隊はこの地を確保するため降下作戦を行うのだが、いずこからか現れたMig29ファルクラムの編隊に叩かれ、300人ほどしか降下できなかった。

 

    

 

 300名の命をイラン地上軍から守るため、無国籍の私兵航空軍団が集められる。指揮を執るのは、ヴェトナム戦争の英雄ボブ・ドラゴン大佐。あちこちからはみ出し者の空中勤務者や、機体を集めてバンダルアッバースの対岸UAEアルクアシーム基地にやってくる。

 

 ヴェトナム戦争でボブが墜としたソ連軍のパラトフ大佐は、大やけどを負いながら生き延び、アフガニスタンに秘密基地を設けてMig戦闘団を配備していた。ペルシア湾を舞台に、米ソ両軍の英雄が相まみえる。

 

 空挺部隊に迫る旧式戦車をA-10が片付け、MigはF15やF16が追い払う。私兵航空軍<ファーストエア>はいったんソ連軍を退けるのだが、パラトフ大佐はソ連の国防大臣を動かし、Migを増派するとともに正規陸軍をイランに派遣する。ドラゴン大佐はソ連軍の襲来を防ぐことができるか?そして、もう1発の核爆弾に行方は・・・。

 

 創元社の軍事スリラーの中には駄作も多いのですが、本書はなかなか面白かったです。でももうちょっと空戦シーンが欲しかったので、少し減点。