今日は110番の日、2021年発表の本書は、昨年も「警察の階級」を紹介した元キャリア警察官古野まほろの「警察官・組織のトリセツ」、一般市民から見た、警察組織の使い方である。
原則としての「民事不介入」はあるが、民事・刑事の境目はあいまいで、動きたくなければ民事として門前払いする警察もいれば、民事だと言い張って警察の介入を拒否する民間(その筋の方々)もいる。相談はあったのに介入が遅れて犠牲者を出してしまった「桶川ストーカー事件(1999年)」は、警察官の初期教育では必ず取り上げられて正しい対処を徹底しているとある。しかし2019年には「太宰府事件」が起きているように、類似の事件は後を絶たない。
「事件でなければ警察は動いてくれない」との市民の感覚は、ある意味正しく筆者自身の親族が巻き込まれた事件も含めて、原因を筆者はこのように分析する。
・下位の(経験不足の)警察官の個人プレイ
・多忙で、人手不足な時間帯での対応
・上司等の不介入、指揮の欠如
などがあって、結果として怠慢につながった。その場を糊塗するため、常識では考えられない言い訳や脅しをする(*1)こともある。運が悪いケースとしては、もともとやる気のない不良(ゴンゾウ)警官にあたってしまうことも。
一方警察官としても、動きたくても動けないこともある筆者は言う。
・警察の職責を外れる事案
・マニア等による濫訴
・犯罪の認定が難しい事案
・捜査経済として見合わない事案
これに冒頭の民事不介入の原則が加わる。筆者はそんな警察を「正しく動かす」ために、110番のかけ方、#9110番(*2)の利用法、被害届の仕方、告訴の意味ややり方を説明してくれる。
昨今サイバー事案が急増して、警察がなかなか受け付けてくれないとの噂も聞きます。警視庁に「生活安全局」ができて、動いてくれない批判は収まってきたとも言います。昨年「サイバー局」もできました。さて・・・。
*1:自転車同士の事故は交通事故ではない、事件にしたいならお前も容疑者だ
*2:緊急性がない案件なら、相談窓口として適当