2023年発表の本書は、記者からフリーライターに転身した栗下直也氏の「政治家のお酒通信簿」。古来為政者は、周囲の人の真意を知るために酒宴を利用した。ロシアのピョートル大帝などは、3日3晩の宴会に側近たちを閉じ込め酒を呑ませ続けた。もちろん為政者自身もたくさん吞むので、酒豪伝説は各国にいっぱいある。
◇ロシア/ソ連
スターリンももちろんだが、エリツィンの酩酊ぶりは特別。ホワイトハウスで飲みすぎ、下着姿で飲み直しに出かけようとしてSPに保護されている。
◇英国
チャーチルは(映画でも見たが)、朝にシェリー酒、昼にウイスキー、夜はシャンパンを空けたあとブランデーを呑んだ。丸一日、薄いウイスキーの水割りだけを呑んでいたこともある。
◇中国
白酒をカンペイと呷るのが会食の作法。周恩来はこれを25杯ほど一度に呑んだという。対して毛沢東はあまり酒を口にせず、もっぱら女色に励んだ。酒による不能を異様に恐れたという。
為政者には、酒乱の人も少なくなかった。明治の元老黒田清隆は、酔って妻を切り殺したと言われる。宮沢首相は頭の良さは抜群だが、人を見下すので人望はなかった。酒豪だが、酔ってくるとより理屈っぽく人を蔑んだ。それさえなければ、もっと早く総理になれたと評論家はいう。米国ニクソン大統領は、酩酊して核攻撃を命じたこともある。
これらの酒豪たちに比べると、近年の為政者たちは酒を過ごす人は少ない。今年の米国大統領候補、トランプ&バイデンはいずれも酒を呑まない。日本でも、安倍総理は誘われたら断らないが、会食で酒は飲まない。会社員時代は、宴会後の運転手役だった。菅総理も全くの下戸。習大人は若いころは飲んだらしいが、贅沢禁止令を出して以降人前では呑んでいない。プーチン大統領も、付き合いで1~2杯飲むだけ。酔った姿は誰も見たことがない。
筆者は「酒品は人品」と為政者の評価をしていますが、岸田総理は昨今珍しい酒豪総理なのだそうです。外相時代酒豪で鳴るロシアのラブロフ外相とウオッカで渡り合ったとか・・・。さて、ポスト岸田はどうなりますか?僕自身の記憶では、茂木先生も上川先生も、それなりにお飲みになりますよ。