新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

外国人の在留は日本政府次第

 今月改正入管法が施行されたが、移民・難民問題は日本でも大きな論点である。きょうから2日、入管法関連の書籍を紹介したい。2019年発表の本書は、法務省難民審査参与員でもある名古屋大学講師の浅川晃広氏の入管法解説。

 

 冒頭「外国人は日本政府の許可に拠らなければ在留できない」との原則が示されている。日本国籍を持つ人は、在留に日本政府の許可は必要ない。外国人が在留するには資格が必要、活動に基づく資格(別表1)と身分・地位に基づく資格(別表2)などがあり、原則1在留・1資格である(*1)。

 

 この表は「日本政府がどんな外国人に来てほしいか」のメニューであり、外交官や研究者、技能者などが含まれる。しかしこの範囲は徐々に広がっている。例えば、介護職や外食産業、農業等の人手不足解消が目的で、技能実習制度ができた(2017年)。 

 

        

 

 また留学生が、短期就労することを認めるようにもなった。本来の法の趣旨では、留学生の資格活動は勉学で、コンビニ等でバイトすれば資格外活動として国外退去になってもいいはずだったのだが・・・。

 

 このほか結婚や日系人の帰国などで、日本国籍をもたず永住権を得ることもある。ただ感染者や犯罪者などは、永住権があっても退去強制(*2)をすることができる。ちなみに日本での永住権獲得は、日本語の要件がないなど諸外国より緩い面もある。永住者はすでに76万人を数え、そのほかに帰化した人もWWⅡ以後の累計で55万人に上る。また日本で難民が少ないという理由は、入管法2条で「難民条約の適用」が条件になっているから。一般に語られる難民とは定義が異なっているのだ。

 

 要するにこの「別表」の変化を見ていれば、その時点で日本政府が来てほしい外国人のSpecが分かるということですね。

 

*1:在留資格一覧表 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

*2:条件は、不法入国、不法残留、資格外活動をもっぱら行う、懲役1年以上の有罪