著者は1917年生まれ、幼いころからヒコーキというものに魅せられた生涯を送った人である。実家が写真館で飛行機の写真に触れる機会も多く、子供の頃に実際に乗ってみた経験もある。当時の飛行機は原始的なものだったが、大人になった著者は「飛行機映画がタダで見ることができる」という理由で、ジャーナリストになる。
第二次世界大戦前から戦後に至るまで、航空機ジャーナリストとして経験を積んだ著者は、飛行船からジェット機に至る航空機の歴史をその目で見てきた。この経験をまとめたのが本書である。
本書には複葉機時代からの様々なエピソードが記載されているが、最終章に彼が選んだ航空機Best10が紹介されている。時代順に、
(1)カーチス・ジェニィ
木製羽布張りの複葉機。1925年から米国で普及した練習機。
(2)デ・ハヴィランドDH4/9
英国製の軽爆撃機。木製複葉二人乗りで、第一次世界大戦の最優秀爆撃機。
(3)フォッカーF7/3M
オランダの旅客機。3発高翼単葉で、乗員2名乗客8名を運ぶことができた。
(4)ボーイングP26
単発低翼単葉の単座戦闘機。最高時速400km/時近くの速度を出すことができた。
(5)ハインケルH70
乗員1名乗客4名を運ぶ旅客機だが、初めて引き込み脚を採用している。最高時速355km/時。
(6)ダグラスDC3
1935年に登場以来、世界最高の旅客機と言われている。乗員3名、乗客30名以下、最高時速350km/時以上。日本を含む各国の指揮官クラスの移動にも用いられた。
米軍の第二次世界大戦最良の戦闘機とも言われる。朝鮮戦争でも活躍した最後のレシプロ戦闘機でもある。
言うまでもなく日本にとどめを刺した戦略爆撃機。広島・長崎の原爆投下をしたのもこの機体。
(9)ロッキードP80シューティングスター
米国が最初に実戦配備したジェット戦闘機。実験機の意味合いが大きく、生産数は1,000機ほどである。
後退翼の大型多発ジェット爆撃機で、最初に成功した機体。1,800機が量産され一時期冷戦下でソ連を圧倒する機体だった。
空への憧れは僕にもあるのですが、1世紀半以上前にこれだけの情熱を持った人がいたことに驚きましたよ。