新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

スペンサーとスーザンの仲

 本棚のスペンサーシリーズも残りわずかになってきたある日、藤沢のBook-offで見つけたのが本書。1996年発表の第26作目にあたるらしい。もう30冊以上読んでいるシリーズだが、入手していなかったものと思われる。念のためこのサイト「新城彰の本棚」をスマホで確認したが、本書の記事は書いていない。

 

 すこし若返ったスペンサーに会えると思って、早速読み始めた。今回スペンサーのところには2件の事件が持ち込まれる。ひとつは、相棒ホークの幼馴染の大学教授からのもの。このネヴィンズ教授は黒人で英文学を教えているのだが、ゲイである。しばらく前に関係のあった白人の大学院生プレンティスが飛び降り自殺をし、教授会に関係を暴露されて大学を追われそうになっている。文学部教授会の議論を調べて、なんとか復権させてくれというもの。

 

 もうひとつは、恋人スーザンの女友達からのもの。KCという彼女、W不倫の末前夫と別れたのだが、不倫相手は離婚してKCと結婚してくれるという約束を守らない。それは仕方ないとして、一人暮らしを始めたら誰かにストーキングされるようになったという。

 

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 スペンサーはホークと教授会メンバに探りを入れると同時に、KCから前夫と不倫相手の名を聞き出しその2人の動静を探り始める。教授会の何人かに聞くと、ネヴィンズ教授放逐の最先鋒は同じ黒人のアブダラ教授。さらに飛び降り自殺と思えたプレンティスの事件は、10階の窓から投げ落とされた殺人の可能性も出てきた。プレンティスの口座には、死ぬまでに毎月9,000ドルに入金がある。彼はゲイであることを公表する新聞を運営していたが、ひょっとすると強請屋だったのかもしれない。

 

 一方KCの事件の方は、解決の前にスペンサーに難題がふりかかる。誰かに愛してもらわないと生きられないKCが、スペンサーに言い寄り始めたのだ。それでも「俺にはスーザンがいる」とスペンサーは断固拒否する。裏表紙の宣伝文句に「スペンサーとスーザンの関係に波紋を投げかける」とあった。スーザンは「告別」の事件でスペンサーのもとを去り、次の事件で縒りが戻っている。

 

スペンサーが愛を取り戻す話 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 「告別」が面白くなかったせいで、本書も僕の苦手な恋愛沙汰の本だと思って、昔は買わなかったのかもしれません。まあ欠けていた輪だったので、読めて良かったです。