新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

ファンのためのギブスの物語

 このDVDは、ご存じ「ネイビー犯罪捜査班:NCIS」のシーズン9。この中の14作目「運命の分かれ道」で通算200話を達成している。記念すべき200話は「ファンのためのギブスの物語」と位置付けられ、シーズン1からずっと主役を続けてきたギブス捜査官(マーク・ハーモン)に関わった多くの人達が、回想シーンで登場する。まだ入隊したばかりのギブスもそのころの恋人と登場し、マークの息子ショーン・ハーモンが演じていた。

 

 海外派遣中にテロに遭って亡くなった最初の妻と娘、それ以前に亡くなっている母親、何度か出演している父親、妻子を殺したメキシコ人でギブスが殺害した男までもがフラッシュバックシーンに登場する。あり得ない話だがヴァンス局長が、ケイト・トッド捜査官を射殺したモサドの殺し屋アリとチェスをしていたりする。シーズン8で殺人鬼<ポートキラー>と相討ちになって死んだマイク・フランクスも現れ、いつものセリフ「プロービー(新米)」とギブスに呼びかける。

 

        

 

 マイクは「もし、あの時」と言い、メキシコ人を殺さなかったら、ケイトを守れていたら・・・などと運命の分かれ道をいくらか示した。その結果、ケイトとトニー、アビーとマクギーの2カップルが生まれて子供もできた。でもギブス自身は性格破綻して酒浸りになってしまう。ベリサリオ総監督は「200話続いた御礼に、どんな話をファンに贈ればいいか1年以上悩んだ」という。その結果が、このファンタジーのような一篇になった。

 

 他の作品も個性的で、ハラハラさせるものが多い。シリーズが始まったころはストーリーが大事だが、ファンが登場人物に慣れてくると登場人物の組み合わせにより注力すべきだと制作側はいう。相変わらず大物俳優のゲスト出演は続き、今回はシェリル・ラッドまで出てきた。従来より「家族」の色彩が濃くなり、ヴァンス局長の義弟が容疑者になるケースも。いつも「身内の捜査に加わるな」と厳格な彼だが、自分の弟については気にかけ、ギブスから叱られてしまう。

 

 舞台設定もスケールが大きい。前半こそ「ワシントンDC探訪を深めた」というが、2度のアフガニスタン(これはさすがにセット)ものと、カルタヘナナポリ編があり、軍艦内部での物語も多い。

 

 さて、あと本棚に残っているのはシーズン10だけ。大事に見ましょうね。