新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

日本の野球界、その未来

 今年は「COVID-19」の影響で、異例づくめの野球界だった。例年のような高校野球全国大会は開催できず、プロ野球も試合数を減らして6月開幕。観客の入りも制限され、鳴り物入りの応援もNGである。プロ野球ビジネスにとっては痛手の年になった。

 

 それ以前からビジネスは左舞いで、改革の必要性はだれもが認めながらできずにいた。プロ野球だけではなく、日本の野球界全体の改革も必要だというのが本書(2019年発表)の主張。著者はスポーツ・ノンフィクション作家で、プロ野球から学童野球まで現場を歩き続けた人だ。まずプロ野球界のお金の現状だが、

 

日本プロ野球NPBの収益 約1,800憶円

大リーグMLBの収益 1兆円以上

 

 と差を付けられているが、国内の他のプロスポーツと比較すると、

 

NPB日本人選手の平均年俸 3,995万円

JリーグJ1選手の平均年俸 2,661万円

B(バスケット)リーグの平均年俸 1,310万円

 

 と優遇されているのがわかる。それでも子供たちはサッカーやバスケットボールに流れ、中高生の指導者の中には「運動能力の一番高い生徒はサッカーなどに行き、野球には二番手以下しか来ない」と嘆く人もいるという。

 

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 筆者はJリーグのプロモーションや、日本全体でサッカー業界が一つになっているゆえ子供も親も野球から遠ざかったのだという。日本の野球界は生まれとステークホルダーの違う4つの組織から成っていて、一つにまとまれない。

 

プロ野球 読売新聞

高校野球 朝日新聞

・社会人野球 毎日新聞

・学童野球 東京新聞

 

 が創始者になっていて、ライバル意識がぬぐえない。学童から高校野球への流れでも、他のスポーツに比べて子供も親も越えなくてはいけないハードルが高い。

 

・長時間練習が常態化

・用具等が高価など経済的な負担

・「お茶当番」など親の時間的な負担

・「野球肘」など故障の可能性

 

 このままでは野球少年は急速に減り、30年後にはプロ野球が開催できなくなると筆者はいう。ただ韓国では男子高校生の0.3%しか野球部ではないのにプロが成り立っている。(日本は約10%)

 

https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2020/03/19/150000

 

 ここは発想を転換して、韓国・台湾も混ぜた極東リーグを作ってはと僕は思いました。30年後を憂うるなら、このくらいのことを考えて欲しかったです。