新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

業界情報

ネットワークに潜む罠

本書は以前「闇ウェブ」を紹介した、セキュリティ集団スプラウトと代表の高野聖玄氏が、2019年に発表した「闇ウェブ」の続編。前著が普通の人は入らないインターネットの奥にある犯罪の巣窟を描いたものだったが、本書はそれを利用して社会に悪を成そうとす…

法人の検死報告集

昨年から「COVID-19」騒ぎで経営苦境にある企業は多い。しかし政府支援もあって、倒産件数は少ない。本書(2017年発表)によると、リーマンショックが落ち着き始めた2009年から日本企業の倒産件数は減少し続けている。地方の若い銀行マンなど「倒産処理をし…

都市戸籍の人達も苦労している

昨日「日本人は知らない中国セレブ消費」で、中国のプチ富裕層が何を求めているか、価値観はどうかなどを紹介した。この書は2017年のものだが、内容は全部「都市戸籍」を持っている人のこと。以前「戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊」を紹介した川島博之…

上海人の金銭感覚、2017

1週間前に別ブログでだが、上海の2年の勤務を終えて帰国した人に聞いた話を紹介した。スマホがあれば財布の要らない便利都市、みんな豊かで政府を信頼しているとのことだった。 中国都市部の今の状況 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com) 日本での「…

小手先の変革ではなく

2017年発表の本書は、銀行をはじめとする金融機関のAI活用例を紹介し、2030年には銀行はどうなっているかを予測した書。背景にはデジタル化・AI活用で無くなると予想された職業のうち、半分近くが金融業だったことがある。この予測には当時日銀にいた友人が…

真の教育改革への第一歩

今日、海の日から高校生までの子供たちは夏休みが始まる。別に「COVID-19」のせいだけではなく、日本の教育制度は難しい面が多い。 ・大学を出ても社会人として通用しない人も多い。 ・大学の奨学金の重さに耐えかねている社会人。 ・増えすぎた大学と「水増…

ネット時代の旧メディアの姿勢

2020年発表の本書は、ニッポン放送で「OK! Cozy up!」を担当するパーソナリティ飯田浩司氏の初の著作。スポーツ中継をしたくて入社した放送会社で、制作部への配属から現場の記者、ラジオパーソナリティなどを通して、著者なりのメディアのあり方を述べた書…

新聞の劣化と週刊誌の矜持

今年初めには総務省(旧郵政省)の複数の幹部が吹き飛ばされてしまった「文春砲」、その件に限らずスクープ記事を連発しある種の人達を戦々恐々とさせていると思う。その「週刊文春」が常に目標としてきたのが「週刊新潮」、その2誌の考え方や取材方法、過…

たとえオリ/パラは無くなっても

本書の著者兵頭二十八氏の著書は、以前「こんなに弱い中国人民解放軍」を紹介している。自衛官の経験ある評論家で、戦略・戦術や関連技術、戦史にも詳しい人。2018年発表の本書は、2020年に予定されていた東京オリンピック/パラリンピックを前に、日本を狙…

BtoC業界のロジスティックス

GAFAの一角「Amazon」、日本にも法人はあって中身は2つに分かれている。ひとつはE-comerceで、もうひとつはAmazon Web Service(要するにクラウド)だ。僕により近いのはBtoB領域のAWSの方であるが、両社に知り合いは多い。経団連で付き合いのあるE-comerce…

2年経っても状況に大差なし

「K字回復」と言うのだそうだが、「COVID-19」禍でも業績や株価が上昇している企業がある一方、いずれも低迷し倒産か廃業かと苦しんでいる企業も少なくない。だたNYダウも日経平均も数値としては好調で、一部には「バラ撒きバブル」と気象を馴らす人もいる…

情報セキュリティの知識・組織・実践

本書は来月2日発売予定の新刊書、これも著者から送られてきたものだ。400ページ弱の中に、現在の企業情報セキュリティの全てが詰まっている書といっても過言ではない。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)は、サイバーセキュリティ業界の老舗団体。サ…

情報リテラシーを磨くこと

本書も先月出版されたばかりの本、当初1万部以下の予定だったのが10倍増刷しているという。これも著者ではないが関係者から廻してもらって読んだ。米国在住の病理学者峰博士に、編集Yことジャーナリストの山中氏がSkypeでインタビューしてまとめたものであ…

日本の野球界、その未来

今年は「COVID-19」の影響で、異例づくめの野球界だった。例年のような高校野球全国大会は開催できず、プロ野球も試合数を減らして6月開幕。観客の入りも制限され、鳴り物入りの応援もNGである。プロ野球ビジネスにとっては痛手の年になった。 それ以前から…

20,000件の検視

本書は「死体は語る」で知られる検視官、上野正彦先生のエッセイ風の読み物である。「風」と言ったのは、軽い語り口ながらその内容は非常にヴィヴィッドなものであるから。特に第二章の60ページ全部を使って、自殺すると死体がどうなるのかを克明に説明して…

マサチューセッツ総合病院、1969

本書は「緊急の場合は」でデビューし「アンドロメダ病原体」で一世を風靡し、のちに「ジュラシックパーク」を始めとするベストセラーを生んだマイクル・クライトンの第三作である。ただ本書はミステリーでもSFでもなく、米国の医療体制・病院などの実態を描…

民は官より尊し

僕は、電力会社一家で育った。親父は東邦電力(今の中部電力)入社で、職場結婚だった。伯父もいとこ達2人も中部電力社員である。親父はまだJRが国鉄だったころ、 「電力がなければ電車は動かん。しかし鉄道が国有で、電力は民営だ」 と言っていた。なぞか…

薄く、分かりやすく

昨年経団連が翻訳出版した「サイバーセキュティハンドブック」については、これをセミナーで解説した人が、薄い、専門用語がない、経営者が質問する項目を書いているとして、とかく難しいサイバーセキュリティ対策について、文系出身者も多く忙しい経営者が…

強竜の時代

成績不振で中日ドラゴンズの監督を退いた森繁和氏であるが、かつて本書で自分の矜持を書いている。最初にハードカバーで出て、その後ペーパバックで出版されたものである。再版にあたって、60ページばかりが追加されていた。 落合監督と森コーチ(投手コーチ…

小説中の死体も語るのか

作者の上野正彦医師は、「死体は語る」などの著書で知られる元監察医。東京都監察医務医院長を最後に職を退き、書いたこれらの諸作が、法医学の書としては異例のベストセラーになった。僕自身も、珍しくハードカバー本を買って読んだものだ。 クラシックスタ…