新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

身の上を知らない男と仲間たち

 このDVDは「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」のスピンアウト。先月紹介した「NCIS:シーズン6」で、ギブスたちがロスアンゼルスで捜査にあたったエピソードがあった。その拠点となったのが「NCIS:ロスアンゼルス」の組織。潜入捜査官カレンはギブスとは旧知の仲で、事件解決に向けに尽力するのだが、最後に凶弾に倒れる。

 

 本編はスピンアウトの第一シーズンで、2009年に放映が開始された。カレンが傷が癒えて現場復帰をするところから始まる。カレンは麻薬取締局(DEA)出身のスゴ腕捜査官、どんな相手にも化けて事件の渦中にとびこめるのだが、身の上は本人にも分からない。孤児として生まれ、40回も里親を変える環境で育ったことしか情報がない。

 

 相棒のサムは、SEALs上がりの大男、銃器も格闘もOKの肉体派だ。演じるLL・クール・JはヒップホップのMC出身、道理でノリがいい。もうひとりの戦闘員ケンジーは、海兵隊の家に生まれた女性。セクシーだが、銃も喧嘩も、車の運転も荒っぽい。

 

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 ほかにデジタル捜査担当のエリックは、アロハに短パンのノリノリ青年。心理分析官のネイトは、ひょろ長い大男で荒事は苦手。あと新人の黒人青年ドムがいる。このチームを束ねる管理部長ヘティが面白い。演ずるリンダ・ハントは女性が男性を演じてアカデミー助演女優賞を獲った身長145cmの小柄な女優。最初は潜入捜査官の領収書処理や服装選びに目を光らせる「困った上司」だったが、長い経験と人脈から国防長官を動かすなど驚きのパフォーマンスも見せる。僕が個人的に好きなのは心理分析官のネイト、2mほどの長身でヘティの倍くらいありそうに見える。しかしヤサ男で不器用、得意の卓球でも、初心者のケンジーにKOされる始末。

 

 潜入捜査だけでなく、海軍・海兵隊のからむ幅広い事件が24話に詰まっていて飽きさせない。個々のエピソードも本家に劣らない意外性とスピード感がある。加えて本家からヴァンス局長がときどき参加、またアビーがロスに出張してきて事件に迫るという「テコ入れ」エピソードもあった。

 

 本家以上に登場人物の過去が一杯隠されているようだし、新人のドムを早々に殺してしまうという意表を突く演出もある。面白いので、シーズン2を探してみることにしましょう。