新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

女探偵サニー・ランドル登場

 1999年発表の本書は、すでに<スペンサーもの>を紹介しつくしたロバート・B・パーカーの別シリーズ。やはりボストンを舞台にした、私立探偵ものだ。主人公サニー・ランドルは、30歳そこそこのバツイチ女。元夫のリッチーも彼女も警官だった。彼女の父親も引退警官で、彼女は父親の背中を見て育ち警官になったのだ。

 

 離婚して、絵画の腕はあるのだが生活には十分でないと始めたのが私立探偵。女探偵は少ないので、依頼は十分に来る。今回は州知事の座も狙おうという銀行家パットンからの依頼で、家出した15歳の娘ミリーを探してくれとの内容。

 

 パットンの妻の当てこすりは無視してミリー探しを始めたサニーは、売春組織の元締めトニーの助けを借りてミリーを探し出す。しかし彼女が完全に心を閉じていて、このまま両親のもとには帰せないと感じたサニーは、一旦自分のアパートにミリーを連れ帰っら。

 

        

 

 案の定、ミリーを取り返しに来た男たちがいた。サニーが撃退すると、固まっていたミリーの心が解けてきた。彼女が語る家出の真相は、

 

・母親は独立した書斎、寝室、浴室を持っていて、いろんな男を連れ込む

・父親は、知らぬふりをして、自らも浮気に精を出している

・ある日ミリーは、母親が知らない男と「誰かを殺す」相談をしているの知った

 

 のである。学校でも家庭でも何も学んでいないミリーに、サニーは料理、トレーニング、動物をかわいがること、男の子との付き合い方、ボートの漕ぎ方などを教えていく。その一方、ミリーの両親について、警察や元夫の力も借りて捜査をしていくと、両親の「浮気」は、普通のレベルではないスキャンダラスなものであることが分かる。あられもない写真も出てきて、これが表に出れば知事選挙は絶望的だ。

 

 ボストンの街の悪党たち(黒人、アイリッシュ系)が数々登場、元夫のリッチーも大物のギャングの家系です。街に巣食う金持ちや犯罪者、政治を私しようとする奴らの間を、サニーとその友人たちが歩んでゆく姿が格好いいです。シリーズ第二作も買ってあるので楽しみです。