2025年発表の本書は、国際ジャーナリスト春名幹男氏の「ソ連崩壊からプーチンの報復の理由」解説。米国のレーガン政権が謀略を持ってソ連を追い詰め、これを崩壊させた。謀略は、諜報機関所属のスパイ、二重スパイらが入り乱れて少しずつ進んだ。KGBのプーチン大佐はその経緯をよく知っていて、21世紀になってNATOの東方拡大に対して反撃を開始したとある。
1980年にレーガン政権と仏ミッテラン政権が誕生、裏切ったKGBのスパイからヒントを得て、米仏の諜報機関はソ連を破綻させる謀略を巡らせる。
1)ソ連が西側技術を盗んでいたことを逆手に取り、不良品の半導体などを掴ませた
⇒ パイプラインが爆発するなど、インフラに事故が相次いだ
2)アフガニスタンに資金や技術、兵器を供給し、ソ連軍に出血を強いた
⇒ ソ連の戦費は500億ドルを超えたが、米国の工作費は30億ドルほど

3)荒唐無稽なSDI(スターウォーズ計画)を見せつけ、ソ連に財政負担を強いた
4)サウジに原油を増産させ、原油価格を下げてソ連の収入額を減らした
⇒ 食料が買えなくなって飢餓が発生、クーデターの引き金となる
そしてソ連が崩壊し、冷戦が終った。苦しむロシアやエリツィン大統領を見ても、米国クリントン政権は(首脳同士の仲は良かったが)援けることはなかった。エリツィンの後継指名を受けたプーチンは、当初NATO入りも考えていたようだが、結局旧ソ連・ソ連圏の復活を目指すことになる。
チェチェンのイスラム勢力の蜂起も、西側諜報機関の画策だとプーチンは考えている。西側首脳は再三「NATOは拡大しない」と言いながら、どんどん旧ソ連圏の国を加盟させた。遂にそれがウクライナに及ぼうとして、プーチンは反撃を開始する。オバマ政権の弱腰や、2016年の大統領選挙へのロシアの介入、トランプのロシア寄りの姿勢と情報管理の甘さなど、他の書でも知られた事実が語られる。
納得したわけではありませんが、今のトランプ政権のわがままさを考えれば、米国が上記のような謀略をしてきたと言われても否定できません。面白かったのは1990年代に、若いプーチンがキッシンジャーと意気投合したというエピソード。インテリジェンス系の人は、お互いにすぐわかるようで・・・。