2026-03-01から1ヶ月間の記事一覧
2023年発表の本書は、日経新聞論説委員長藤井彰夫氏の、政策を歪める「ナラティブ」の実例集。「○○こそが正しい!」というもっともらしい言説によって、現代日本の政策は上手く進められなかった。反対しづらい「正義」が行き過ぎた対応を呼んだり、イノベー…
1931年発表の本書は、今年になって毎月紹介しているアントニー・バークリーの<名探偵シェリンガムもの>。帯にあるように「名作ミステリ新訳プロジェクト」で創元社から改めて出版されたものだ。僕が学生の頃にはすでに絶版で、幻の本格ミステリだったもの…
1990年発表の本書は、日本の航空ミステリー作家福本和也の連作短編集。作者の作品としては、以前「成田空港殺人事件」を紹介している。太平洋戦争中にパイロットとしての訓練を受けていた作者は戦後も航空業界で暮らし、そこで生きる人たちの生活や多くの機…
2022年発表の本書は、横浜生まれのノンフィクションライター八木澤高明氏の横浜の黒歴史紹介。筆者は世界中の都市の暗部を実体験してレポートするライターで、今回はその知識も活かして生まれ故郷の歴史と今を赤裸々に描いた。 開港150年の横浜だが、まず多…
1976年発表の本書は、これまで「ロウフィールド館の惨劇」「わが目の悪魔」などを紹介しているルース・レンデルの短編集。作者はどちらかというと長編作家であるが、日常に潜む底なしの恐怖を描かせれば超一流なので、その怖さが凝縮された上質の短編サスペ…
2023年発表の本書は、文芸評論家縄田一男氏と江戸文化研究科菅野俊輔氏による、江戸時代中期の犯罪、捜査、庶民文化の紹介本。池波正太郎の「鬼平犯科帳」「仕掛人藤枝梅安」をモチーフにしているが、町奉行を含めた治安組織全体と売春、賭博、興行などを含…
1991年発表の本書は、以前「凍てついた夜」を紹介したリンダ・ラ・プラントの警察小説。英国グラナダTVで放映されたシリーズの脚本を、自らノベライゼーションしたもの。多少コマ割りが早いかとも思うのだが、TVドラマとは思えない本格的なミステリーに仕上…
2024年発表の本書は、何冊か紹介している大野和基氏が世界の知性にインタビューする政治・経済書。暗殺未遂事件があって、表紙にあるように拳を振り上げたトランプ候補の姿に「確トラ」となった時期に出版されたものである。8名の世界的な知性が、専門分野…
2011年発表の本書は、連邦保安局に20年以上勤務した護身術教官マーク・キャメロンのデビュー作。作者はテキサス出身だがアラスカ在住で、北の大地をBMWバイクで走る日々だという。 主人公のクイン大尉は空軍特別捜査官、1/4先住民の血が混じっているのでアラ…
1936年発表の本書は、不可能犯罪の巨匠ジョン・ディクスン・カーの最大長編。実に入り組んだ筋立てで、謎が膨らんだ後一気に解決するが、さらにその向こうに謎が・・・という筋立て。学生時代に読んで閉口したのを覚えている。 フェル博士は4ヵ月ぶりにロンド…
2025年発表の本書は、グローバリズムに批判的な評論家中野剛志氏の国際金融論。トランプ2.0政権が相互関税を振りかざした時点で執筆されたもので、なぜこの政権が生まれたか、何をしようとしているのか、どうなるのかを解説している。言うまでもなく米ドルは…
1989年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第16作。今年も聖ウィニフレッド祭が近づく頃、シュルーズベリ修道院には2組の来訪者があった。大司教の使者で傲慢な男ジェルベール一行と、7年前にシュルーズベリを出て聖地巡礼を果…
昨日歴史作家安部竜太郎の「戦国の山城をゆく」を紹介したが、2006年発表の本書はその続編。前著は、戦国時代前期まで戦国大名の重要施設「山城」が、資金豊富で年間を通して大規模作戦が可能なうえに大量の鉄砲を持つ「ニュータイプ戦国大名」によって駆逐…
2004年発表の本書は、歴史作家安部龍太郎氏の「戦国時代の山城探訪」。日本各地12箇所の山城&城跡(*1)を著者が自らの足で歩き、目で見た姿をレポートしている。戦国時代には、各地の豪族が要害の城を持っていた。日常の政務を行うのは平地の館であっても…
2022年発表の本書は、プロフィール非公開の作家ジェィムズ・バーンの軍事スリラー。白人だが決してスマートではない主人公デズモンド・リメリック(通称デズ)は、傭兵から足を洗ったのだが時々ゲートキーパーの役を引き受ける。 固く閉ざされた扉や鍵を開け…
2022年発表の本書は、反貧困ネットワーク代表藤田孝典氏の「高齢者貧困問題の解決編」。これまで関連図書を読んだ経緯は、 著者の「下流老人*1」:高齢者貧困問題を取り上げ、公助の充実を提案 渡部昇一著「実践快老生活*2」:自分は自分で守るしかないと自…
1986年発表の本書は、ロースクール出身の作家ヘンリー・デンカーの法廷ミステリー。主人公のスペンサー判事は、連邦法曹界でも名うての変わり者。2年前に長年連れ添った妻を亡くしてから、孫娘に同居してもらってはいるのだが、頑固さに磨きがかかっている…
1961年発表の本書は、以前「飢餓海峡」を紹介した社会派ミステリー作家水上勉が、水俣病をテーマに書いた作品。作者は8歳で寺の持僧になってから30余もの職業を経て作家になった。腹に据えかねることも多かったようで、なぜミステリーを書くのかと問われて…
松本清張は、戦後ミステリー界を代表する巨匠である。しかし「点と線」のような本格ミステリーは意外に少なく「ゼロの焦点」や「砂の器」といった社会派ミステリーが有名である。本書は光文社が、作者の膨大な短編を全11巻に編集したシリーズの第一巻。初期…
1960年発表の本書は、チェスター・ハイムズの<墓掘りジョーンズと棺桶エドもの>の第四作。といっても、多くの読者にはなじみのない作者で主人公だろう。学生だった頃、多くのミステリー書評を読んだが、その中で「バカでかい拳銃を振り回すハーレムの2人…
2007年発表の本書は、京都生まれで日本文化研究家である嵯峨徳子氏の京都論。昨年の旅行のおり、寺町商店街の古書店で買ったもの。1,200年の歴史は深すぎて、京都人にもよくわからないことも多い。「京都は好きですか?」と住んでいる人に問うと、 ・最初は…
1996年発表の本書は、以前1~3作を紹介したデボラ・クロンビーの<ダンカン&ジェマもの>の第4作。前作の最後でついにベッドインした、ダンカン・キンケイド警視と部下のジェマ・ジェイムズ巡査部長。バツイチ同士のゴールインかと思いきや、翌日から互…
1991年発表の本書は、3ヵ月連続紹介してきたフレデリック・フォーサイスの<騙し屋4部作>完結編。聴聞会はサム・マクレディに同情する声も上がり始めていたが、最後に紹介された件は、彼がカリブ海にある英領バークレー諸島の独立騒動の折にとった意表を…
2014年発表の本書は、トム・クランシー&ステーヴ・ピチェニック原案の<新オプセンターもの>の第一作。執筆者はディック・コーチとジョージ・ガルドリッジ。これまで「北朝鮮急襲」「復讐の大地」「暗黒地帯」を紹介しているが、第一作がようやく手に入っ…
2018年発表の本書は、フリーライター小野一光氏が凶悪殺人犯数人にインタビューし、彼らの素顔/本音を取材したもの。週刊誌記者は、新聞・TVのようにリアルタイムに事件を追うことができない。週に一度の締め切りがあるためで、例え特ダネをつかんでもタイ…
本書は<週刊小説>に1984年に連載されたもの。これまで「〇法おもしろ事典」や<赤かぶ検事シリーズ>を紹介した弁護士作家和久峻三初期の作品。「仮面法廷」でデビューし乱歩賞も獲ったのだが、初期作品はなかなか手に入らない。 本書は詐欺がらみの民事訴…
本書は、フランスのスパイ小説作家ピエール・ノールのWWⅠもの。激戦地ソンムの(ドイツから見て)背後にある町サン=コランタンは、ドイツ軍の占領下にあった。占領軍司令官ニーデルシュトフ大佐がプロシア貴族(伯爵)で、戦果には満足しているものの、プロ…
1994年発表の本書は、「迷犬ルパンもの」などで知られる辻真先の文庫書き下ろし。題名にあるように大御所江戸川乱歩が封印したとされる幻のミステリー「仮面の恋」を題材にしたものだ。作者はかつてNHKのプロデューサをしていて、乱歩本人にも会い「月と手袋…
2019年発表の本書は、詩人ローラ・シムズのミステリーデビュー作。今はニューヨーク在住だが、一時期日本で英語教師をしていたこともあるという。ある日、街角で有名女優とすれ違い「心のざわめき」を覚えて執筆したのが本書だと、解説にある。 わたしは大学…
2023年発表の本書は、以前「中国vs.世界」などを紹介した中国通のルポライター安田峰俊氏の「中国の対日工作レポート」。 中国政府は世界53ヵ国以上に、100箇所以上の海外派出所を設けている。これは共産党に反対する中国人を監視する目的で造られたのだが、…