2026-04-01から1ヶ月間の記事一覧
本書は、以前「マダム・タッソーがお持ちかね」を紹介した歴史ミステリー作家ピーター・ラヴゼイの1983年の作品。作者は本書で、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞を獲得している。 本書の時代背景は1921年。第一次世界大戦後間もないころで、クリスティ…
2011年発表(2022年新書で再版)の本書は、これまで「イスラム国の正体」「プーチンの正体」を紹介してきた軍事ジャーナリスト黒井文太郎氏の「昭和の陰謀論解説」。WWⅡ以前の満州での謀略・国内も含めたテロ・太平洋戦争中の諜報・復興時の陰謀や黒い霧・高…
今月磯田道史著「江戸の家計簿*1」で、江戸時代の金銭感覚を勉強したのだが、残念ながらお酒や肴の値段が分からない。それでは、と探して見つけたのが本書(2017年発表)。著者の伊藤善資氏はエッセイスト。全国の蔵元1,612箇所のお酒を呑んだとする剛の者で…
2002年発表の本書は、ジャック・ヒギンズの<ショーン・ディロンもの>、以前紹介した「復讐の血族」の続編にあたる。前作でディロンたちに米国大統領暗殺計画を阻止され、3人の兄を殺されてしまったケイト・ラシッドは復讐に燃えていた。ベドウィンの王家…
1932年発表の本書は、毎月1冊紹介している本格ミステリーの技巧派アントニー・バークリーの<名探偵シェリンガムもの>。先月紹介した「最上階の殺人」と並ぶ、このシリーズの傑作との評判がある。 新居に引っ越してきた新婚夫婦が邸内を調べていて、地下室…
1989年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第17作。シュルーズベリ修道院の近くにある土地は、ある豪族が所有し1年前まで陶工ルアルドが借りて暮らしていた。しかしルアルドはシュルーズベリ修道院に入り、妻は行方不明になった…
1940年発表の本書は、ジョン・ディクスン・カーの第一短編集。カーのレギュラー探偵と言えば、いずれも大兵肥満のフェル博士とヘンリ・メリヴェール卿の2人でよく似ている。本書に収められた10編中6編には、やはりよく似た体形のマーチ大佐が登場する。 「…
2024年発表の本書は、イランに留学し仕事で長期滞在もした人が、匿名・書下ろしでレポートしたイランという国の実態。匿名でしか発表できなかった内容である。題名は「地下世界」となっているが、イラン社会全体を表現している。 まず経済だが、経済制裁もあ…
1982年発表の本書は、昨日紹介した金子常規氏「兵器と戦術の世界史」の続編。日本での兵器発達史であり、より詳しく戦闘力を殺傷力・移動力・防御力に区分し、戦闘はこの三要素のぶつかり合いによる相手の戦意を潰すことと解説している。 地方勢力が乱立して…
1979年発表の本書は、陸軍士官学校49期砲兵卒、陸上自衛隊で教官を務めた金子常規氏の「世界史における砲兵の変遷」である。伝説のデザイナーであるダニガンによれば「砲兵は戦場の神」である。デジタル化が進んだ現在の戦場でも、その価値は大きく減じてい…
1997年発表の本書は、デボラ・クロンビーの<ダンカン&ジェマもの>の第5作。ダンカン・キンケイド警視と部下のジェマ・ジェイムズ巡査部長は、ようやく親密になってきてジェマの息子トビーも含めた幸せな家庭を考え始めている。しかしそこに水を差す事件…
2022年発表の本書は、<宝島>誌に掲載された記事を再録したもの。14人の著者が16の聖域についてレポートしている。現代日本では大手メディアが「報道しない自由」によって扱わなくなったものがある。本書は、これらを聖域としていたことを暴く記事を集めた…
2011年発表の本書は、香港在住で台湾推理作家協会の海外会員、陳浩基の本格ミステリー。翻訳版で島田荘司推理小説賞を受賞している。舞台は香港、香港警察の許巡査部長が主人公だが、胎児を含む一家3人の惨殺シーンで幕を開ける。複雑な事件ではなく不倫関…
このDVDは、CBSネットワークで1997年に放映された「JAG:犯罪捜査官ネイビーファイル」の第3シーズン。20年以上前にビデオに録画して見ていた番組だが、このシーズンから見覚えがある。 「赤い幽霊船」は、退役して赤さびだらけになった空母「ホーネット」…
ラスティはユーゴスラビア移民の息子。父親はナチの迫害から逃れて、米国に渡ってきた。貧しい生活から、努力して掴んだ検事補の地位だ。子供のころの苦難や、キャロリンの亡霊などが夢に出てきて、彼をさいなむ。そして起訴から3ヵ月後、ついに公判が始ま…
1987年発表の本書は、連邦検察局の現役検事補スコット・トゥローのフィクションデビュー作。ベストセラーとなって、映画化もされた話題作である。地方検察局にはびこる愛憎と野望をヴィヴィッドに描き、主人公の私(ラスティ首席検事補)の眼を通じて、米国…
別ブログでは熱海と東京を「わが町」として紹介している。しかし東京はとてつもなく広く、僕の知らない町の方が圧倒的に多い。そこで本書(2018年発表)を読んでみることにした。筆者の加藤佳一氏はバス旅行の専門誌「バスジャパン」の創刊者。22コース中、…
本書は1905年に短編「十三号独房の問題」でデビューした、ジャック・フットレルとその名探偵<ヴァン・ドゥーゼン教授もの>の第一短編集。以前に第三短編集は紹介していて、有名な<タイタニック号>で未発表原稿とともに沈んだ悲劇の作家であることはご承…
1924年発表の本書は、文豪ながら本格ミステリーを多く遺したイーデン・フィルポッツが、ハリントン・ヘキスト名義で発表したロマンスミステリー。 壊れた家庭の出身ながら、富豪である伯父の助けで医師になったノートン青年は、海辺を散歩していて美しい姉妹…
2007年発表の本書は、ピューリッツァー賞作家マイケル・シェイボンの<IFワールドもの>。作者は東欧ユダヤ系三世で、本書でSF三賞(ヒューゴー・ネビュラ・ローカス)を独占するという快挙を成し遂げている。 WWⅡ後、イスラエルを建国しようとしたユダヤ人…
1951年発表の本書は以前「暗号ミステリ傑作選」を紹介した、レイモンド・T・ボンドの毒薬編アンソロジー。12篇の短編が収められているが、冒頭編者の「毒と毒薬について」が歴史考察として貴重。ソクラテスの自決から、歴史上の毒殺者クリッペン医師らの容疑や…
2015年発表の本書は、マウリツィオ・デ・ジョバンニの<P分署もの>の第四作。舞台は4月のナポリで、ピッツオファルコーネ署の刑事たちは「小さな命」を守るために奔走する。 「ハルク」とあだ名されるロマーノ巡査長は、この朝落ち込んでいた。愛妻ジョル…
昨日「地理・地形から見た江戸」を紹介したのだが、2020年発表の本書は「お金から見た江戸の暮らし」。以前「日本史の内幕*1」などを紹介したマルチタレント歴史学者磯田道史教授の全カラーガイドである。 1両握りしめて江戸時代へタイムトリップするという…
2014年発表の本書は、時代劇考証でNHK大河ドラマ等に貢献する東京学芸大学教授大石学氏の「地理・地形から見た江戸時代」。京都や江戸を巡るにつけ、古地図に興味を持ち始めた僕にとっては、アクティブな古地図とも言える参考書である。 五街道の整備は公用…
1944年発表の本書は、女王アガサ・クリスティの本格ミステリー。レギュラー探偵ポアロらが登場しない作品として、これまで「シタフォードの謎*1」「蒼ざめた馬*2」を紹介しているが、本書はその中間に位置する珍しいノンシリーズだ。 なぜレギュラー探偵を使…
1950年発表の本書は、巨匠エラリー・クイーンの<ライツヴィルもの>。エラリーのもとに匿名の手紙が来るのは珍しくないのだが、ライツヴィルの新聞ベタ記事が添えられていたのでエラリーはそれらを読んだ。心臓麻痺で死んだ男、大富豪が自殺、一人の男の失…
2025年発表の本書は、フリーライター花田庚彦氏の「台湾裏社会潜入ルポ」。筆者は台湾黒社会の実態、トクリュウとの関係、日本との連携や拠点などを探ろうと、2度台湾に渡り、危ない目にもあいながらその姿をレポートしている。 元々台湾島には三大黒社会が…
コートの接近を知ったヤコは、強引に予定を早めて女たちを船に乗せた。その中にやはりタリッサの妹ロクサナがいた。組織のTOPであるケイジは、以前ロクサナに言い寄ったことがあり、この絶世の美女をモノにしたいと思っていた。ルート上の者たちには、彼女を…
2020年発表の本書は、マーク・グリーニーの<グレイマンもの>第9作。これまで三人称で語られていた主人公コート・ジェントリーの行動だが、本書は一人称で書かれている。冒頭、ボスニア紛争当時の悪漢を狙うシーンで、これまでとは異なったサスペンスを感…
1963年発表の本書は、これまで「高い城の男」などを紹介してきたフィリップ・K・ディックのSF。核戦争後の地球を描いたという点では「ジョーンズの世界*1」が近い設定かもしれない。 米中対立がWWⅢに発展し、地球は核に汚染されてしまった。そこにヴァグと呼ば…