新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

おさげ髪探偵フレーヴィア登場

 2009年発表の本書は、カナダ生まれのアラン・ブラッドリーのデビュー作。なんとデビュー時70歳。英国推理作家協会賞の新人賞受賞作だが、表彰式に出るために初めて英国の地を踏んだという。祖父母が英国からの移民で、古き良きイングランドに憧れて育った作者は、舞台をイングランドの田舎町に、時代を1950年6月に設定した。探偵役には、当時の自分と同年代の11歳の少女を据えた。

 

 フレーヴィアはおさげ髪の女の子、由緒あるド・ルース家の3姉妹の末っ子である。ただ家の家計は厳しくて、資産と言えば住居であるバックショー荘と父親ド・ルース大佐の切手コレクションくらい。母親はフレーヴィアが1歳の時に亡くなり、17歳と13歳の姉2人は彼女に意地悪ばかりする。

 

        

 

 フレーヴィアは早熟で、趣味は化学実験。ある種の毒にも詳しい。イジメてきた姉の口紅に軽い毒を仕込むなど、復讐の念をたぎらせている。親身になってくれるのは、庭師のドガーくらい。彼は父親の元部下で、日本軍の捕虜になって辛酸をなめ、PTSDに悩まされている。

 

 ある日玄関にコシギという小鳥の死骸がおかれていた。嘴には黒いペニー切手が刺してあり、父親はひどく動揺する。また村に滞在している赤毛の大男と、口論しているところもフレーヴィアは見た。その後、バックショー荘の庭で、その大男の死体が見つかった。容疑は父親にかかり、フレーヴィアは容疑を晴らそうとドガーの助けを借りて探偵を始める。

 

 カギは30年前に自殺したとされる、父親が通っていた学校の教員トワイニング先生の切手コレクションに秘められていた。黒切手なのに黄色の印刷で仕上げられた2枚のペニー切手にあった。その1枚は国王が保有し、もう1枚はトワイニング先生の手から誰かが盗んだらしい。

 

 当意即妙の嘘が得意で、冒険心豊かなフレーヴィアはとても魅力的なキャラでした。ちょっと<サイコパス>の傾向がありますが・・・。最後に国王からの手紙をフレーヴィアが受け取るシーンもあり、20世紀のイングランドへの憧憬が溢れた作品でした。ミステリーとしてもツボは外しておらず、あと2冊シリーズものを買ってあるので、随時ご紹介しましょう。