本書はサウスカロライナ州フローレンスを中心に大量猟奇殺人をして、1991年に電気椅子にかけられたドナルド・ギャスキンズ(通称ピーウィー:ちび)の口述を、作家のウィルトン・アースが編集したもの。編者は、できるかぎりこの死刑囚の言葉(翻訳なのでよくわからないが南部の汚い言葉の連続のようだ)を正確に記したという。最後には本人の校正まで入れてある。
ピーウィーは身長150cm足らずの小男。私生児であり、15歳で彼を産んだ母親は次々と結婚・離婚を繰り返した。義父たちから虐待を受けた彼は、必然的にワルガキになった。仲間たちと窃盗をし、娘を輪姦し、やがて感化院送りになった。ここでも虐待を受けるが悪知恵で脱走、少女たちをレイプする一方で普通の結婚もした。
再三の犯行でついに刑務所送りになったが、刑務所内でもボスを暗殺して怖れられるようになる。体力はないが、ひるまず殺せる才能はあったようだ。仮釈放となると、また獲物の娘を探し始める。ヒッチハイカーや家出娘など10歳代の娘を誘い、拘束してレイプし傷つけ苦しませた末に殺して埋める。殺しをしないと、疼痛が襲うらしい。
フローレンス郊外には無人の湿地帯が広がり、死体処理には困らなかった。後には、20歳以上の女も男でも殺すようになる。結局何人殺したかは、本人にも分からず「多分110人くらいかな」と言っている。
残虐な行為を淡々とユーモアさえ交えて語る彼は、やはり精神異常者だろう。しかしそんな彼を、長らく逮捕できなかった官憲のてぬかりもひどい。また刑務所も腐敗していて、死刑囚となった後も彼はC-4爆薬を入手して刑務所内で気に入らない男を爆殺している。「こころづけを渡せば、何でも手に入る」と豪語していた。