2019年発表の本書は、ロバート・クレイスの<コール&パイクもの>。1989年の「モンキーズ・レインコート」以来30年続くシリーズだが、軽口が売りの探偵社経営者コールが主人公のことが多く、無口な銃砲店経営者パイクが主人公のものは多くない。この作品は、その珍しいパイク中心のストーリー展開が楽しめる。
海兵隊上がりの警官だったパイクは、あるきっかけで警察を辞め傭兵をしていた。しかしコールが探偵社を開くと聞いて、共同経営者となっている。袖を切り落としたシャツからは三角筋に描いた赤い矢のタトゥーが覗く。ぴったりしたジーンズとサングラスがトレードマークで、常に.357マグナム拳銃を持ち歩いている。
銀行窓口にやってきたパイクは、窓口係の娘イザベルがランチに出て、SUVに押し込まれるのを見た。愛車のチェロキーで追いかけたパイクは2人組を叩きのめし、娘を救った。

駆け付けた警官は「あのパイクにかかって、この2人が生きていることが不思議だ」とつぶやく。しかし何者かが手を回し、2人はパイクも知らないうちに保釈されてしまった。イザベルから「助けて」との連絡をもらったパイクが乗り出すと、2人組は射殺されていたことが分かった。そしてイザベルも失踪してしまった。
SUVの中で2人組の一人は、イザベルに「お前の秘密を知っている。おとなしくすればすぐ済む」と言っていたことを思い出し、パイクはコールに応援を求める。2人には警察内にも協力者がいて、種々の情報からイザベルの置かれた立場が分かってくる。
・イザベルの両親は、証人保護プログラムを受けて別人になっていた
・両親はすでに亡いが、何者かがイザベルから情報を引き出したがっている
・誘拐を図っている主犯は、ヒックスという前科がたっぷりのならず者である
パイクは防弾チョッキを着て、ヒックスらのアジトに潜入する。
昨日紹介したように、スピーディな展開の好調なハードボイルドです。解説によると無口なパイクのファンも多いとか。このシリーズ未訳作品が多いので、もっと邦訳出版して欲しいと思いますよ。創元社さん。