新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

開拓者の美貌の孫イーデンを巡り

 1958年発表の本書は、インド生まれで結婚後も夫の海外赴任に伴って世界中で暮らした英国女性作家M・M・ケイの、ケニアを舞台にしたミステリー。歴史小説も書いた作者だが、ミステリーは8編遺している。

 

 ヴィクトリアは、英国から24時間のフライトでケニアにやってきた。伯母にあたるエム・ドブレットが営む<フラミンゴ>荘と農場を手伝うためだ。エムは開拓者として17歳の時に現地に来て、夫・息子夫婦・農場のマネージャらを事故や紛争で失いながら<フラミンゴ>を護ってきた。今は美貌の孫イーデンとその妻アリス、マネージャのギリーとリサ夫妻に助けられて経営をしている。

 

 現地では<マウマウ団*1>という民族独立派が暴れていて、その首謀者が付近に隠れている。ひょっとすると使用人たちに交じっているのかもしれない。<フラミンゴ荘>では奇妙な現象が続いていて、瓶や皿が割られ、レコード板が破損し、ついには犬が毒殺された。

 

        

 

 一方、家の内にも問題がある。イーデンは甘やかされて育ち怠惰な跡取り、抜群の美貌だけが取り柄だ。実は親族ながら、ヴィクトリアは少し年上の彼と結婚しようと思った時期もある。さらにリサとイーデンの仲も怪しい。そんなことに気をもんでいたアリスだが、リサに会いに行った後、パンガという山刀で殺されてしまった。

 

 現地のギルバート警視が捜査するのだが、現地民の口はとても堅い。<フラミンゴ荘>に恨みを抱く現地民の犯行なのか?<マウマウ団>は絡んでいるのか?それともイーデンを巡る女の確執なのか?

 

 残虐な民族派の行動などもありながら、抒情が美しいクリスティの海外(植民地)ミステリーを彷彿とさせる作品でした。作者の作品は、調べてみるともう1冊「キプロスに死す」が邦訳されているだけ。もっと読んでみたいのですが。

 

*1:マウマウ団の乱 - Wikipedia