昨日石平氏の「中国をつくった12人の悪党たち」を紹介したが、本書も同じ2019年発表の日本経済史。経済版「日本を創った12人」である。著者の竹中平蔵氏は、僕が師事する高名な経済学者。飛鳥時代からWWⅡ後まで、日本に経済改革をもたらした11名と3名の江戸幕府元老の功績を紹介している。まともな経済理論も、統計もなかった時代、彼らは何を考え、どのような改革を行ったか。
冒頭、歴史が大きく動く時には、3つの要素がある。
1)経済社会の構造が変ろうとする
2)海外からのプレッシャー
3)偉大な政治的リーダー
そんな時代のリーダーとして、
・聖徳太子 単一国家の必要性に気付いた先駆者
・中大兄皇子 日本の中央集権化を推進したキーパースン
・豊臣秀吉 信長の政策を継承、強化した正統派サクセサー
・徳川家康 外圧を受けない独自の国を造った異端のサクセサー
・田沼意次、松平定信、水野忠邦 農業主義と商業主義の間でゆれた改革
・大久保利通 産業振興を強力に推進した「アジアのビスマルク」
・高橋是清 毎日が経済危機の時代に舵取りした「庭師」
・池田隼人 数々の挫折を乗り越えた戦後経済最大の功労者
が紹介されていた。徳川吉宗と宗春の対立を、経済学者である筆者は、「吉宗=大きな政府、宗春=小さな政府」ではない、吉宗も財政均衡には気を使っていたとし、吉宗が市場経済が十分成熟する前の制度整備を進めた人だと言っている。つまり経済学で言う「吉宗=制度学派、宗春=古典学派」とだとある。
これらの14人の略歴も記されているが、総じて苦難をなめた人(高橋是清など奴隷にされている)だとまとめてありました。今の政治・経済情勢に対する軽めの批判もありましたが、それは別途伺うことにしましょう。