新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

愛と裏切りの街、アイソラ

 1992年発表の本書は、巨匠エド・マクベインの<87分署シリーズ>。以前紹介した「寡婦」に続く作品である。新書版で350ページを越える大作で、キャレラたちは何度も命を狙われると訴える女エマのため、アイソラの街を歩き回る。

 

 株式仲買人マーティン・ボウルズの妻エマは、地下鉄のプラットフォームから突き落とされたり、車に轢かれそうになる。車の運転手には見覚えがあって、マーティンの運転手をしていた男だ。ところが、男は死体となっていた。夫は事件にどうかかわっているのか?夫はその後私立探偵を雇って妻を守ろうとしているのだが、キャレラたちは探偵アンドリューも怪しいと身元調査をする。

 

        

 

 実はマーティンには愛人がいて、結婚した時の契約で離婚時には財産を2分することになっている。もしエマが死ねば、マーティンは全財産を持った状態で愛人と暮らすことができる。エマも愛人の存在は気付いていて、親身に警護してくれるアンドリューに好意を持ち始めるのだが・・・。

 

 いつものように複数の事案が並走して、もう一つの事案は「寡婦」でキャレラの父親が殺された事件(*1)の裁判。キャレラは裁判を傍聴する一方、エマの事件の現場と往復する日々だ。このシリーズには珍しい法廷シーンが、ふんだんに盛り込まれているのがうれしい。また通常犯人(正確には容疑者)逮捕で終わる事件の、後日譚が語られるのも珍しい。

 

 裁判が進むにつれて、キャレラも協力して逮捕した容疑者ソニー(*2)の犯行説に疑問が出てくる。さて、この2つの事件の結末は。

 

 エマを巡る愛憎と、キャレラの母親や妹を含む家族愛がテーマでした。それにしてもとても長い・・・。

 

*1:警官の父親を殺した容疑者 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

*2:殺人に使われた9mmミニウジーを持っていて逮捕されたのは事実