新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

18年前の告解と墓参の旅

 1988年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第15作。折からの大雪でシュルーズベリ修道院の屋根が破損し、修理をしていた修道士ハルインが転落して重体となった。死を覚悟した彼は、治療をしてくれているカドフェルと、修道院長に18年前の犯罪を「告解」する。

 

 まだ18歳だった彼は、主人であるド・クレアリー家の娘と恋仲になり妊娠させてしまった。夫に知られないようにと娘の母親アデレーズは、彼に堕胎薬を用意させた。その結果母子ともに亡くなったと聞かされた彼は、絶望して修道院に入ったのだ。

 

 この秘密は院長とカドフェルだけのものになったが、奇跡的にハルインは命を取り留める。松葉杖を使えば少しは歩けるまでに回復した彼は、かつて愛した娘と嬰児の墓参に行きたいという。院長は願いをかなえ、秘密を知るカドフェル随行を命じた。

 

        

 

 最終目的地エルフォードまでは、40マイルほどの道のり。先代が亡くなり未亡人となっているアデレードに途中挨拶をして、2人はついに墓参を果たす。そしてその帰路、エルフォードから数マイルの町ヴィヴァーズで、2人は事件に遭遇する。ヴィヴァーズ貴族の息子ロースランには、年の離れた腹違い妹ヘリセンデがいた。彼女にはジャンという婚約者がいて、2人は結婚式の司祭役を任される。

 

 ところがその前に、ヘリセンデの乳母がエルフォード途中の道で刺殺されてしまった。カドフェルは、ド・クレアリー家とヴィヴァーズ家の過去に秘密があり、それが事件につながったと考える。

 

 本書も、やはり根底を貫いているのは「愛」です。若きハルインの恋、ヘリセンデの恋、それを包み込むもっと大きな愛。シュルーズベリを遠く離れた土地で、親友の執行長官ヒューの助けも得られないまま、カドフェルが事件を解き明かします。本書の展開とラストは割合早く読めましたね。作者の作風に慣れてきたのかもしれません。