新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政治・経済書

主要国の「サイバー戦略」

今日本でも「次期サイバーセキュリティ戦略」の策定が急がれているが、従来より安全保障色の強いものになっていると聞く。その背景は、サイバー空間での国家レベルの暗闘が激しくなっていること。2019年発表の本書は、その実態をヴィヴィッドに描いたもので…

2年間で変わったこと

本書は日経編集委員の滝田洋一氏が、亥年の始めに当たり国際情勢を俯瞰して見せた書(2019年1月出版)である。トランプ先生と習大人が表紙でにらみ合っているかのように見えるが、これが本書のキーワード「チキンゲーム」である。どちらも内外に弱みは見せ…

これなら争点になるのだが・・・

近づく総選挙、野党の中でも維新の会は「ベーシック・インカム」と消費減税を掲げて戦う姿勢。野党第一党の立憲民主党は「枝野ビジョン」は出たものの、抽象度が高い。共産党との合同出版も延期となり、政策の基本線が見えてこない。 2017年の総選挙直前、民…

中国の人口はまだ4億人

本書(2017年発表)の著者川島博之氏は、東大大学院農学生命科学研究科准教授。専門は環境経済学、(土地)開発経済学。食糧危機対策や日本の農政改革に係る著書があるが、中国に多くの教え子がいて彼らを訪ねてかの国の地方を巡った経験が豊富。 出版のころ…

なるほど右翼はこう考えるのね

「小さな政府 vs. 大きな政府」が遠くなってしまって、いまや「大きな政府 vs. もっと大きな政府」の選択肢になってしまっていると嘆いている僕だが、政治家(政権ではない)の選択には「保守 vs. 革新」というものもあったことを、本書のタイトルを見て思い…

神が遣わした2人の大統領

何度か僕の苦手なものとして「お金」を挙げているが、実はもっと苦手なものがある。それが「宗教」。産まれた家は仏教徒、中でも禅宗なのだが、親戚の葬儀や法事くらいしか仏教徒だとの意識になったことは無い。仏教の教義もまるきり分からないが、もっと困…

MICEの価値をどう考えるか?

このところ、IRの話を聞くことが少ない。もちろん株式上場のことではなく、特定複合観光施設区域のことである。2018年7月に通称「IR整備法」として関連法が成立し、一時期は国会論争やメディアでの特集も派手だった。インバウンド需要で日本中が湧きたって…

省内で接点がなかったお二人

何冊かIntelligenceに関する書を紹介している佐藤優氏(元外務省主任分析官)と、よくTVでお見掛けする宮家邦彦氏(外交政策研究所代表)は、外務省での現役時代、接点がなかったと冒頭にある。二人の専門が、 佐藤氏:欧州、ロシア、神学、哲学 宮家氏:米…

「数学脳」は批判を呼ぶかも

本書は昨今「暴言」とも言われるツイートを繰り返して、内閣官房参与を退いた高橋洋一教授が、2016年に戦後経済政策を総括した本。筆者は東大理学部数学科と経済学部経済学科卒。大蔵省入省で、小泉内閣では竹中大臣らを助けてブレーンとして活躍した。本書…

やはり「国民銀行」の危機

この2年ほど日本郵政の周りでは、妙なことが頻発する。2019年末に事務次官のクビが飛んだことに始まり、今年になってからは「楽天」との業務提携だ。ここでも、総務省・日本郵政(含む全国郵便局長会)・郵政族議員の「鉄のトライアングル」が、かんぽ生命…

ケインズを降ろした経済学

中国共産党政権が露骨な「国進民退政策」を進め、アリババグループなどデジタル産業叩きをしている。欧米諸国だって「COVID-19」対策でバラ撒き政策を実施、それを回収すべく法人税増税を計画中。日本でも10万円再配布の要望が収まらないなど、世界全体が「…

合衆国が「国」に戻った時

本書の著者三浦瑠麗氏は、国際政治学者。今は山猫政策研究所長として「朝まで生TV」などの政治番組の常連コメンテーターである。僕が国際政治学者として尊敬している藤原帰一先生が、10年以上前に彼女をほめていたことから注目するようになった。 本書は著者…

平和安全法制の課題

これまでも何冊かの新書で、集団的自衛権やその関連の議論を勉強してきたのだが、本書はそれらとは次元の違った論文集。国際安全保障学会の機関誌で2019年9月に発行されたものだ。テーマは「平和安全法制を検証する」。どうしてこんなものが手に入ったかと…

不都合な真実・言ってはいけない

本書(2019年発表)の著者橘玲(タチバナ・アキラ)は、本名非公表の作家。国際金融小説「マネーロンダリング」でデビューしているが、作家としてよりは社会課題に関する論客というべきだろう。Web上に銀髪・グラサンのアニメ像で登場し「歯に衣着せぬ」オピ…

この人たちの「Society5.0」

日本政府が掲げている社会目標「Society5.0」、狩猟社会・農耕社会・工業社会・情報社会ときて、次は「超スマート社会」を目指すべきというもの。産業界もこの主役は自分たちだと意気込んでいるのだが、本書によるともう一つの「5番目の社会」があるという…

EUに感じる違和感の源泉?

10余年にわたりデジタル経済に関する国際連携で、日米・日欧等の会合に出席しているが、米国に比べて欧州委員会のデジタルに対する警戒感の強さを常に感じる。かつては個人情報保護について厳しい規定(GDPR)を要求し、今はAIに対して倫理を求めたりハイリ…

「子ども庁」へのヒント

「デジタル庁」に続いて、霞ヶ関横断の新組織「子ども庁」設置の議論が本格的に始まった。専門外なので詳しいことは知らないが、目的は人口減少を食い止めることだろうと思う。中国ですら人口減少の兆候が生まれていて、先進各国はおしなべて人口減少に悩ん…

憲法改正ではなく新憲法を

現在88歳、さすがにTV等でお見掛けすることも無くなったが、石原慎太郎元東京都知事については、様々な批判や賛意があるという。本書は2018年に、2012年(都知事在職中)から2017年ごろまで、雑誌や新聞に寄稿したものを再編集して出版されている。元々は作…

憲法改正のポイント

昨年安倍総理が突然辞任して以来、あまりこの団体の名前を聞かなくなった。もう「日本学術会議」の話に埋もれてしまったのかもしれないが、立ち位置としては逆のような存在だ。軍事研究まかりならんという「学術」会議に対し、占領憲法を改正し国軍復活を目…

Intelligenceは国家のお仕事

本書は背任罪で有罪となり執行猶予付きの刑が2009年の時点で確定した元外務省分析官佐藤優氏が、2006〜2007年にかけて「フジサンケイ・ビジネスアイ」に連載した60篇を1冊にまとめたものである。さらに文庫化にあたり、各篇についてのその時点でのフォロー…

あきらめないで欲しかった

本書は、元大阪府知事、大阪市長、今はTVのコメンテーターになってしまった橋下徹氏と、堺屋太一先生の共著。2011年の発表で、橋下氏はまだ大阪府知事、1期を務めて財政再建にめどを立てたものの、大阪市の平松市長らと対立し「大阪都構想」を練り上げてい…

World Intelligence 2019

本書は、元NHKワシントン支局長でジャーナリストの手嶋龍一氏と外務省で「ラスプーチン」のあだ名で呼ばれた主任分析官だった佐藤優氏が、当時の世界情勢を語ったもの。「中央公論」2019年8~11月号の記事向けに行われた対談がベースになっている。 題名は…

シルクロード経済圏構想

AIIBこと「アジアインフラ投資銀行」は、2013年APECの会場で習大人が設立構想を説明し、本書が出版された2015年に正式に発足している。筆者の真壁昭夫氏は元第一勧銀の銀行マン、第一勧銀総研などを経て信州大学経済学部教授となった人。中国が「シルクロー…

手近な最後のフロンティアか?

いろいろな国のこと(米国・欧州・英国・中国・韓国)を、何冊もの新書で勉強してきた。しかし手近なところの1国はまだ手付かず、それが北朝鮮だ。トランプ政権の宥和とも見える政策がバイデン政権に代わってどうなるのか、かの国の指導者は心配しているは…

何も高齢者ばかりを責めなくても

本書は「失われた20年」がどうして起きたのか、その処方箋は何かを筆者なりの視点で提案したもの。筆者の藤野英人氏は投資信託ファンドマネージャー、「レオスキャピタルワークス」を立ち上げて日本の成長企業に投資している人だ。 本書の前半は日本の産業界…

財政再建はもちろん必要

本書は「霞ヶ関埋蔵金伝説」で知られた、ユニークな経済学者高橋洋一の初期(まだ財務省勤務だった?)の著作。実は僕の一番の苦手が「お金」、自分の生活に必要なくらいのものは理解できるのだが、デジタル技術や軍事戦略と違って大きなお金のセンスには自…

10万円一律給付要求のルーツ

以前、NPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典理事の「下流老人」を紹介した。本書はその続編、貧困老人を量産するようになってしまった社会の構造改革はこうあるべきだとの「解決篇」である。著者は現在「10万円一律給付」を求める記事を毎日のように投稿してい…

オーバーバンキングって本当?

「COVID-19」騒ぎだけでなく、総務省接待問題など出て来て手が回らないのかもしれないが、菅政権の政策目標のひとつは「金融再編」だったはず。最近その報道があまり見られない。ただ日本の地域金融機関の経営はかなり苦しくなっていて、再編を求める声は大…

独特のメンタリティ

昨日東日本大震災当時の官邸内部のことを官邸内部の視点で示した書を紹介したが、本書には同じことを官僚の目で見たことが書かれている。ただ著者の古賀茂明氏が言いたかったことは、官邸内の迷走よりもそれを生んだ官僚たちの生態(筆者の言う独特のメンタ…

攻めの広報、守りの広報

本書の著者下村健一教授は、TBSのニュース番組から各種の報道に関わった後、民主党政権菅内閣の時に内閣広報官を引き受け、2年公務員の職にあった。本書はその時経験したことを2013年に綴ったものである。 著者は学生時代から、社民連という小政党で一年生…