新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

民主主義のためカネに着目

 2024年発表の本書は、朝日新聞出身のウェブメディア運営者鮫島浩氏の「政治とカネ論」。主張ポイントは「民主主義を守り(有権者が)政治を自分事化するために、カネの流れに着目しよう」ということ。具体的には、政治献金などしていない一般市民も税金という形で政治のコストを払っているのだから、正当な見返りを求めようということ。さらに言えば、自分の役に立ってくれる政治家を資金面でも、選挙でも応援することだとある。

 

 題名にあるように「政治家の収支」を前半で整理していて、

 

        

 

■国会議員の年間収入

・歳費 期末手当というボーナス込みで、約2,200万円

・旧文書交通費 1,200万円(JRフリーパスなどが加わり、格安で議員宿舎など利用可)

・立法事務費 780万円(加えて秘書3名分の人件費)

 

■党としての年間収入

政党助成金 総額300億円(政策活動費の原資?)

 

 この他にパーティ収入、寄付などあり、議員個人や政党支部で受けられる。与党の場合は官房機密費(年間12億円ほど)も使える。

 

◇国会議員の選挙にかかる費用

・事務所、人件費、印刷代等 1,500~2,000万円

・供託金 300~600万円

 

◇追加の秘書(平均5名)とその活動費

 

 結論として、政治家は贅沢をしたくてカネを集めているのではなく、地元活動(県議・市議などへの支援含む)に必要なので集めている。

 

 党や政府(官房機密費)のレベルになると、メディアや広告業界などにも回すので、もっと大きなカネが必要になる。日本の現状は、個人献金が少ないので、政党は企業献金に拠る必要が出てきて「癒着」の疑いを持たれる。

 

 政治は困っている人のためのものなので、現状に満足している人は選挙に行く必要もない。しかし、現実には困っている人が選挙に行っていないとあります。二大政党制などは、財界が資金配分を考えやすいので、最も財界にとって都合のいい制度だとも筆者は主張します。「裏金問題」に端を発した日本政治の根本にかかわる分析、とても面白かったです。