1966年発表の本書は、惜しまれながら亡くなった国際政治学者高坂正堯教授(享年62歳)の外交・安全保障論。冒頭、具体的な平和への措置をいくつか検討し、すべてが不満足なものだったと結論づけている。平和を論ずる場合「抽象的な平和」を語る人が多いが、そんなものは存在しないと最初にクギを刺している。
国際関係論は、3つのレベルで語られる。国家間の力の関係・利害の関係・正義の関係である。まず力の関係だが、WWⅠ前から、技術革命は強力な兵器を生み出し市民も含めた犠牲が大きくなった。各国は自衛のためと軍拡に走るが「力(の均衡)による平和」に対する不安が大きく、軍縮の機運が高まることもある。
できるとすると、まず奇襲を喰わない警戒態勢の構築が相互に重要。先制攻撃が必ずしも有利でなくすることだ。次に抑止力として必要以上の、相手方を警戒させる軍備を持たないように自制すること。

次に利害の関係。経済交流が進めば国家間対立は緩和され、平和が訪れるとの楽観論がある。確かにある国の経済発展が、他の国に良い影響を与えることもある。経済政策は権力政治とは無縁とも言われるが、前者が「利益の一致」を目指しているのに、後者は「利益の交錯」を求めるゆえの矛盾がある。
最後に正義の関係。多くの民族・宗教が相乗りする地球には「常識の数だけ正義がある」。国家間を含めた紛争の原因のいくつかは、正義と正義のぶつかり合い。国際機関にはその調停が期待されるのだが、大国が乗り出してくるとうまく収めるのは難しい。大国に対して多くの国が「世論」を展開し収めることも不可能ではないが珍しい。
以上の他、気になるフレーズがいくつもありました。
・同盟国の戦力や戦意を、真に図るのは難しい
・戦争は「不治の病」だが、治療を止めるわけにはいかない
筆者は今のWWⅢ直前とも思える地球の状況を、どう判断されるのでしょうか?AI高坂先生に聞いてみたいです。