昨日「トム・クランシーの原潜解剖」を紹介したが、クランシーは5編の米軍調査レポートを書いている。取材先は、
・1993年、第二潜水艦軍
・1994年、第三機甲騎兵連隊
・1995年、第366航空団(本書)
・1996年、第26海兵遠征部隊
・1997年、第82空挺師団
となっているが、「原潜解剖」と本書以外は翻訳されていない。冷戦の終結は、軍事部門や諜報部門に大きな変革を強いた。空軍もその例外ではなく、強敵がいないのにカネがかかるとの批判が出てくる。この時点では、
・1機あたり、戦闘機2,000万ドル、戦闘爆撃機5,000万ドル、ステルス機5億ドル
・パイロット一人の育成に200万ドル
かかるのだが、それでいて、
・地上にいるところを奇襲されると、とても脆弱
・海軍、陸軍と違ってそこに居続けられないので「占領」に使えない

そこで米空軍は、戦略空軍(SAC)戦術空軍(TAC)輸送機軍(MAC)を統合して航空戦闘軍団(ACC)に再編した。奪い合っていた資源を必要なところに割り当てることができるようになった。海外の基地も縮小したのだが、米国内の基地縮小は進んでいない。これは政治の問題である。
再編途上の空軍がその真価を発揮したのが「砂漠の嵐作戦」、イラク空軍を蹴散らし司令部を破壊し陸軍の行動力も奪った。それまで1個中隊の爆撃機が無差別爆撃をして主要な目標を破壊していたのが、たった1機・1発のスマート爆弾で同様の戦果を挙げられるようになっていた。自軍にはAWACSがあって敵の動きが見えるのに、敵はステルス機によってレーダー網を破壊されて盲目になったので、自軍の被害は極小だった。
本書では、個々の航空機の詳述もあって、
・戦闘爆撃機F-15C
・対地攻撃機F-15E
・戦闘機F-16
・戦略爆撃機B-1
・空中給油機KC-135
・空中早期警戒管制機E-3C
・次世代戦略爆撃機B-2
が紹介されていた。「訓練にはカネがかかる。しかし訓練なしだったらどうなるか考えてほしい」とのある将軍の言葉が、心に残りました。