2024年発表の本書は、以前「人を救えない国*1」を紹介した、立教大学教授金子勝氏の日本政治批判。前著では「中央には頼れないので地域分散ネットワークで日本を救う」としていた筆者だが、事態はその後もひっ迫してきて、その根源である「2015年体制」を何とかしなくてはとの憤りで書かれたような書である。
「2015年体制」とは、安倍最強官邸時代に静かなクーデターによって確立されたもので、
・無能な世襲議員でも乗り切れるように、国会を形骸化した
・地方経済が衰退するにつれ、中央に頼らざるを得ないように支配を強化した
・企業献金を受けて法人税を下げ、優遇措置をとることで企業を懐柔した
・内閣人事局を通じて官僚を支配し、総務省等の監督権限でメディアを壊した
・集団的自衛権・防衛費GDP比1%枠等の制限を外し、軍事大国への道を拓いた
を成し遂げたと筆者は言う。

世間を騒がせている自民党議員の裏金問題だが、無能な議員団を維持するには必要だったとある。安倍官邸は検察・司法にも影響力があり、4,000万円という金額でセンを引いて、それ以下の金額だった議員の罪を軽くした。本件については、
・企業団体献金廃止
・過去の政策活動費を開示させ、できなければ課税
・会計責任者と議員に連座制を適用
すべしとある。透明化をやると言っても、10年後開示では脱税等の罪が時効になっているので意味がない。
「裏金」は議員だけでなく、国家自身も作っている。年間10兆円にも及ぶ予備費はその典型。さらに多くの基金、防衛費の後年負担(要はローン)もあり、見えにくい社会保険料の値上げなども行われている。
この苦境を脱するには、政権交代による政界腐敗の一掃・エネルギー独占企業の解体・防衛費増を止めを社会福祉に回す・原発から自然エネルギーに転換・デジタル敗戦からの脱却・女性を主人公にした社会を造る・若者議会の創設などが必要だとある。
政治献金をして便宜を図ってもらっている企業(筆者はこれを日本版オリガルヒと呼びます)の例に、私が勤めていた会社の名が挙がっていました。決してそんなことはしていませんよと申し上げたいです。