新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

その国の性格を表すところ

 2023年発表の本書は、出版社勤務から実業と著作の二刀流を続ける内藤博文氏の「歴史から見た首都の意味」。その国の首都がどこにあるかで、国の性格が見えてくるという。歴史的に首都の位置がどう変わったか、その時国はどうだったのかを研究した結果である。取り上げられているのは9つの国。

 

◆中国

 かつては中原にある洛陽・西安が首都。その文化力で周辺を抑えていた。これを「中華思想」という。しかしその後、中華思想に縛られないモンゴル系の国が生れ、漢民族の国でも北の勢力に備える意味から北京が首都になった。北京が首都の内は、中国は軍事に力を注ぐ。

 

◆ドイツ

 ベルリンは、かつて神聖ローマ帝国の都だった。今のドイツの国土の中では東に寄りすぎているが、ポーランドなどもかつての領土であり東方を含めれば中心地になる。ヒトラーはベルリンが中心地となるように、侵略戦争をした。

 

        

 

◆ロシア

 モスクワは、西からの侵略を縦深で防ぐには好適なところ。ここに首都がおかれた場合、欧州を警戒しているということ。かつてサンクトペテルブルグが首都だったことがあるが、その時代は親欧的だった。

 

 以下の国の場合も、

 

◆英国 ロンドンは大陸との交流を強める位置

◆インド 古来インドの脅威は北東からのムスリム勢力、デリーはこれに対処する位置

◆トルコ イスタンブールからアンカラに移したのは、東方に向けた大トルコ構想から

◆米国 ワシントンDCは、大西洋を越えた欧州からの脅威に備えるもの

◆韓国 ソウルは「ミニ中原」、小中華思想の中心だが戦う意思はなくすぐ放棄される

◆日本 畿内は大陸を意識して東国を忘れた結果、東京・京都・大阪の三都体制に

 

 だとしている。神聖ローマ時代のベルリンを固守するドイツと、オスマン帝国時代のイスタンブールを捨てたトルコ。対照的なようだが、東に伸びたいという点では一致している。英国もロンドンが首都である限りは、大陸に未練があるということだ。

 

 これまで意識しなかった首都の位置、面白いヒントを貰いました。