新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政治・経済書

日本型閉鎖組織の改善策

2022年発表の本書は、同志社大学政策学部太田肇教授(経済学)の日本型組織研究。筆者には、同調圧力や承認欲求に関する著書がある。本書の目的は「消極的利己主義」が日本に蔓延している現象と理由、さらに解決策を示すこと。日本型組織は、 ・行政機関や企…

自国通貨建ての国債デフォルト

昨日「強権の経済政策」でジャーナリスト軽部氏の「アベノミクス評価」を紹介したが、では日本経済をどうすべきなのかを改めて見直すために、本書(2022年発表)を買って来た。著者の田村秀男氏は元日経の記者、現在が産経新聞で論説委員などをしている。長…

やはり要諦は人事

2020年発表の本書は、ジャーナリスト軽部謙介氏の「アベノミクス」評価。先に「官僚たちのアベノミクス」(2018年)という著書があるようだが、入手できていない。2012年末の総選挙で政権に返り咲いた自民党は、以降10余年にわたって政権を維持しているが、…

海外の視点で見た「デジタル日本」

2021年発表の本書は、「ルポ貧困大国アメリカ」などを著したジャーナリスト堤未果氏のデジタル日本への警告。以下の点は僕もよく知っていて、推進側を努めているのだが、批判的な視点だとこうなるのかと驚かされた。 ・最高権力を持つ「デジタル庁」 ・政府…

そのバッジの意味は何?

2020年発表の本書は、2019年にNHKスペシャルで放映された「崖っぷち?わが町の議会」の基になったアンケート結果の分析書。日本中の地方議員(県会・市会・町村会・区会)約32,000人に選挙ややりがい、議会の在り方など17項目の質問をし、約20,000回答を得た…

無意識データ民主主義の提案

2022年発表の本書は、イェール大学助教授の成田悠輔氏(専門は非常に広範囲*1)の民主主義の将来像。資本主義と民主主義は近代社会の両輪。資本主義で経済を廻して富を(富裕層や大企業に)稼がせるが、民主主義は一人一票なので大衆の意志が反映して富が再…

過疎「地域」対策の本質論

2022年発表の本書は、地方政策に悩んできた僕に、問題の本質を明らかにしてくれたもの。著者の花房尚作氏は、鹿児島育ちで世界を見たマルチタレント。政府には過疎対策はあっても、過疎地域対策がないと喝破する。その結果「人口が減る」という現象に対応す…

地球経済のマクロ観測2022

2022年発表の本書は、元経済企画庁長官宮崎勇氏と元日銀審議委員田谷禎三氏が書き続けてきた世界経済をマクロに見た書。前作が2012年発表で、宮崎氏が2016年に亡くなってからは、田谷氏一人で改訂作業をされたという。世界経済の輪郭に始まり、貿易、金融、…

反新自由主義ならば考えて欲しい

2020年発表の本書は、財政学・環境経済学が専門の京都大学諸富徹教授の税制論。僕たちがGlobal & Digital化は当然と思っているのに、多くの知の巨人が「それによって格差が拡大したし、容認している各国政府はけしからん」と非難している書を一杯読んだ。国…

チームになれば日本人は強い

2022年発表の本書は、以前「国土と日本人」を紹介した、国交省元技監大石久和氏の近著。自然災害が多く山脈や河川で分断された、脆弱かつ不便な国土で育った日本人は、コミュニティを作るのが巧み。城壁で敵と味方を分断する、欧州の文化とは違うのだと力説…

世界を動かしているのはカネ

2005年発表の本書は、東京銀行を振り出しに国際金融の世界を巡った倉都康行氏の現代金融論。1990年代に「金融Big-Bang」というブームがあり、僕自身金融の勉強をしたとことがあって、最後にたどり着いたのが本書。デリバティブズをはじめとする金融技術が落…

昭和の因習を脱ぎ捨てよ

2022年発表の本書は、何冊か著書を紹介した成毛眞氏と実践的な経済(経営?)評論家冨山和彦氏の共著。今月のNHK日曜討論で、政府の新しい資本主義実現会議メンバーでもある冨山氏が、 「地域や労働現場の現実はこうだと言っても、官僚や大企業社長は理解し…

ゲゼルシャフトが残る日本

2022年発表の本書は、経済評論家加谷珪一氏の日本経済(社会)のそもそも論。筆者のWeb上の論説は時々参考にさせてもらっていて、論理的な思考のできる人だと思っている。書籍としては2年前に「貧乏国ニッポン」を紹介している。この書は日本が安い国になっ…

パンデミックは世界規模の実験場

2021年末発表の本書は、何冊か紹介しているジャーナリスト大野和基氏が世界の識者にインタビューした記事の集大成「世界の知性シリーズ」。元原稿は<Voice>誌に2021年3~12月に掲載されたものである。 「COVID-19」禍は、世界に大きなインパクトを与え、…

「女性初」を追求したジャンヌダルク

統一地方選挙が終わり、政界はしばしの休息に入った。岸田政権の黄金の3年間は、あと2年を残しているが、波乱要因がないわけではない。その一つが<政局の女王>ともあだ名される小池都知事。TV東京のWBS(*1)キャスターから、日本新党で政局入りし多くの…

中国・左派メディア・野党・官僚批判

2021年発表の本書は、ジャーナリスト門田隆将氏の政治書。雑誌「Will」に2014~21年にかけて連載されてきた記事を中心に再構成したもの。著者については今年初めて読んだ「正論」等によく名前の出てくる人だが、著書を読むのは初めて。読んでみると、 勇気は…

Globalization と Mondialisation

2020年発表の本書は、知の巨人エマニュエル・トッド教授の近著。「シャルリとは誰か?」でフランスの危機に警鐘を鳴らした筆者が、先進国における民主主義の危機を取り上げた著だ。もともとグローバル化(Globalization)には反対の立場で、ヒトが自由往来す…

お金の、お金による、お金のための

昨日「アメリカ大統領選、勝負の分かれ目」で、米国有権者の動向を紹介した。本書は直近(2022年)に発表された、政策や選挙にまつわるお金の話である。著者の渡瀬裕哉氏は、機関投資家やヘッジファンドなどの動向を研究するエコノミスト。本書を「米国を理…

米国有権者の変遷と選挙戦略

2020年発表の本書は、日経新聞論説&編集委員である大石格氏の米国選挙事情レポート。トランプ再選なるかという同年秋の大統領選挙に向けて、選挙民がどう変わっているかと<ストラテジスト>と呼ばれる選挙参謀の仕事ぶりを紹介している。 選挙民そのものが…

道州制+二都構想

昨日金子教授の「人を救えない国」を紹介したが、問題意識は共有できるとして、地域分散革命が解決策と言われても、経済学ならともかく政治学上は困るなと思った。そこで手に取ったのが本書(2019年発表)、著者の佐々木信夫氏は中央大学名誉教授(行政学)…

地域分散ネットワーク社会の提案

2021年発表の本書は、立教大学教授金子勝氏の日本再生のための経済・社会論。著者は慶應大教授時代にTV番組の常連コメンテータで、僕もよく勉強させてもらった。副題にあるように安倍・菅政権批判が中心だが、ではどうすればいいかの回答は「地域分散ネット…

いよいよ本物?改革政党

統一地方選挙後半戦と同時に行われた衆参5選挙区の補欠選挙は、自民党の4勝1敗となった。1敗は衆院和歌山、維新の会が議席を獲得した。立憲民主党は、1議席の獲得も成らなかった。ここにきて、維新の会が野党第一党になる予感が現実のものになりつつあ…

続・アべ政治とは何だったのか

先月「自民党失敗の本質」を紹介した。第二次安倍~菅政権の官邸主導政治の功罪に迫る、8名の関係者へのインタビュー本であった。 アベ政治とは何だったのか - 新城彰の本棚 (hateblo.jp) 本書(2021年発表)はほぼ同じ時期の官邸政治について、朝日新聞デ…

政治団体「オリーブの木」の主張

2020年発表の本書は、YouTuberで政治団体「オリーブの木」代表の黒川敦彦氏の主張をまとめたもの。この団体の指向は、反グローバリズム・反新自由主義だが、「れいわ新選組」などの左派とは違うようだ。モットーは「なんでもできるさ、ピープルパワーで!」…

21世紀の英知、21人の独白

2021年発表の本書は、読売新聞編集委員鶴原徹也氏が、2015年から2020年にかけて、世界の英知と言われる人物21人にインタビューしたもの。形式として、識者の独白集になっていて、編者は各独白の人物紹介と簡単なコメントを付けているだけ。 分量も統一されて…

外国人記者の25の「なぜ?」

2022年発表の本書は、何度か政治・経済書を紹介しているWebメディア<クーリエ・ジャポン>の記事を集めたもの。主に2021年に公開された記事が取り上げられている。今回のテーマは「外国人記者の日本についての疑問」である。例えば、 ・ハイテク国なのにFAX…

無意味な競争・・・なのでしょうか?

2022年発表の本書は、れいわ新選組の大石あきこ衆議院議員の、日本維新の会への挑戦状(告発状?)。NHK「日曜討論」などでも厳しい口調で政権与党や維新を責め立てる著者だが、その因縁は大阪府職員時代からのものらしい。 30歳の時、橋下知事が若手職員と…

「言論TV」の内容を集大成して

先日「正論大賞授賞式」でお見かけしたジャーナリスト櫻井よしこ氏は、10年あまりインターネット動画サイト「言論TV」のキャスターも務めている。本書は2021~22年にかけて、高市議員を招いて対談した内容を書籍化したもの(出版は2022年)。 高市議員は安倍…

人生100年時代への提言

2019年発表の本書は、経済学者野口悠紀雄教授の人生100年時代への提言。一時期「老後2,000万円問題」が大きく取り上げられていたが、日本の年金制度に問題が多いのは確かだ。筆者は「今のままでは年金の破綻は必至」という。だからといって、資産運用に頼る…

本当の「霞ヶ関改革」とは?

昨日紹介した「官邸は今日も間違える」が面白かったので、著者千正康裕氏のデビュー作(!)を探してみた。著者が2019年に厚労省を退官して、翌年に出版したものである。法律改正の担当だったり、関連して国会質問の対応などしていると、帯にあるように「7…