新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

変格ミステリー

完全犯罪に対するスタンス

最も成功した完全犯罪とは、露見しなかった犯罪である。犯罪があったことに気付かれなければ、捜査も行われず、罪に問われることもない。普通のミステリーは、犯罪が露見してからの難題(アリバイ・密室・凶器・動機等々)を探偵役が解いてゆくプロセスを追…

最初に読んだ倒叙ミステリ

ミステリの一番の売りは "Who done it?" だと思う。不可能犯罪を暴く "How done it?" などもあるが、やはり「犯人はお前だ」というのが王道だ。巨匠エラリー・クイーンはデビュー2作目 "French Powder Mystery" で最後の1行で犯人の名前を言うというアクロ…

一人四役

わたしが語るのは殺人事件の物語です。 わたしはその事件の探偵です。 そして証人です。 また被害者です。 さらに犯人です。 フランスミステリーの鬼才、セバスチャン・ジャプリゾ「シンデレラの罠」のキャッチコピーである。訳者は、作者は一人四役を意図し…

奇術師の、奇術師による、奇術師のための

泡坂妻夫(本名厚川昌男のアナグラム)は、1976年本書で長編ミステリーのデビューを果たし、その後20編弱の長編小説と20冊ほどの短編集を残した。この人は作家デビュー以前から奇術の世界では有名な人である。奇術とミステリーには多くの共通項目があって、 …